誰のための大学入試か

2020年度から始まる大学入学共通テストの英語民間検定試験導入が見送られた。文科相の「身の丈発言」が発端で、自身の退陣問題として騒がれる前に慌てて目先を変え、すり替えたようにしか思えない。共通一次試験、大学センター試験と名称こそ変わってきたが、偏差値教育、大学のランク付けに過ぎないように捉えられるのだが。幸い、私の年代はこれらの試験はなく、4~5年後からだった。高校入試、大学入試と当人のプレッシャーは想像以上だ。人生は色々だが、それで人生が変わったり、一生劣等感を抱えて生きたりと人生が左右されてしまう場合がある。今は中学入試が多くなってきたようだ。どこの段階で入試を体験するかは其々だが。

しかし、文科省の今回の迷走は頂けない。大学入学共通テストには、国語と数学に新たに記述式問題が導入される。従来のマークシート式と違い記述式には採点者の客観性が問われる。いくら、「採点しやすい制度をつくる」と文科相が言ったところで、数十万人が受ける試験を、学生アルバイトを含む一万人の採点者に公平性が保たれるのかは疑問である。40年近くの教職経験者から言わせてもらうと、皆無と言わずにはいられない。大学入試では1点違うと20~30人の合否が変わると聞く。

最近の新聞に記載されていた記事(北海道新聞)によると、「安倍首相出身細田派 歴代の文科相ほぼ独占」とある(1983年から。途中、民主党が政権をになった時期を除いて)。民間試験導入そのもの、なぜ民間なのかで汚いマネーを勘ぐってしまう。自民関係者は「カネを持っていれば票になる」と教育関連の補助金が選挙での得票につながることを示唆。